仕事に向かうときによく思い出す言葉がある。
「人は生きていくためにマジックシャンは必要ない。マジシャンは生きていくために人が必要だ。だから人にはよくしなさい。」
スペインのヴィトリアという街で開かれたマジック・コンベンションでアルド・コロンビーニというマジシャンが言った。
大変感銘を受けた上に、これを言ったのがイタリア人だったのが余計に印象的だった。
考えてみれば客商売ならどんな業種でも当たり前のことだが、あの国はヨーロッパの中でもひと際、自己主張だけが生きる術というような印象があるからだろうか。
残念ながら私がペルーにいるとき彼の訃報を聞いた。今ウイキペディアを見ると2014年、64歳となっている。
コンベンションの彼のブースで話した時の朗らかな様子を思い出す。
「リングやってるビデオ、日本で見たよ」
「あれか、俺がまだ髭生やしてた頃だったよな」
「そうだったか?」
その後にまたビデオを見たが髭はなかった。
あれはジョークだったのか?