随筆 「コロンビアのコカ・コーラ」 ~ところ変われば

 

 

随筆 コロンビアのコカ・コーラ

コロンビアのカリに住んでいるとき、バスで8時間くらいだったかマニサレスという街に住むハイローという連れを訪ねた。
彼とは20代前半、旅を始めたころバルセロナで会い、その後カナリア諸島のテネリフェという島で同じ山の洞窟に住みながら食べ物を分け合ったり、その後またバルセロナで再会して一緒に住みながらストリートで働いたり、他所で祭りがあれば出稼ぎに行っていっしょに野宿をしたりと苦楽をともにした絆がある。
当時連れは長旅を終え出身地、コロンビアのマニサレスという街で母親と兄弟と住んでおり、そこに2週間ほど泊めてもらった。

ある夜お腹を壊して苦しんだ。
連れのお母さんが
「今コカコーラを買いにやったから飲んだらいいよ」
と言う。
「は?」
ここはコーヒーを植えるような標高の高い街で、寒い夜に腹を押さえながらなんで冷たいコーラを飲むんだ?と思っていたら
「コーラに砂糖を入れて飲んだら治るから」
と言い出した。
「いやけっこう、今コーラなんか飲めないよ」
と言うのに
「いや、本当にお腹にいいんだから」
とお母さんがコーラをグラスに入れて砂糖を山ほどぶち込んで混ぜだした。
勘弁してくれ、と声にならなかった。
「早くこれを飲みなさい」
と急かしてくる。
年配のお母さんが親切心で言っているのも分かっているし、自分のために買ってきてくれて砂糖まで入れて準備している。
大きなお世話、に負けた。
冷たくあまく気持ちの悪い液体を飲んだ。お腹が落ち着かずギュルギュルいってるのに炭酸ガスがいっそう気持ち悪くしてくれた。
もちろんもっと苦しむはめになった。

ハイローとはあれ依頼ずっと会ってないが、2年に一度くらい電話で話し、いい連れでいる。

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